アマゾン創設者のジェフペゾスとマイクロソフトのビルゲイツが実は今でも毎日、皿洗いは自分でやっているという記事を読んだ。彼らの趣旨は、皿を洗うことで、さまざまなストレスから解消される最も大事な時間だということ。そして関連するように多くの著名人たちが、何気ない生活のルーティンを大切にしているということである。
まあ、解釈によっては、それでも彼らの”目的”はビジネスでの成功であり、皿洗いや何気ないルーチンというのは”手段”であるという理解もできる。その点はおそらく世の中の主婦がこの記事を読んでも心のどこかでもやもやするに違いないとも思えるのである。
そういう議論は良いとして、自分もロシアで一人暮らしを始めて、同様の感覚にはとらわれている。外食ももちろんしているが、基本的には朝食、ランチ、そして夕食と3食自炊をしている。そして皿洗いは溜めることなく、食事のたびに洗うことにしている。
毎回皿を洗っていると、食器の置く場所、洗剤の付け方、水の流し方、ものによって区別つける水切りの場所などが自分の中でPDCA的に改善していっているのがわかる。
朝起きると、まずはベッドメイキング。そして電気をつけ、空気清浄加湿器をONにする。細かいようだが、キッチンは壁のスイッチでの電気をいちいちOnOffしないで済むように、常夜灯などをつけており、朝にはそれをOffにする。そんなルーティンを繰り返していると、意外と精神が落ち着くのである。本来”家事”というのは面倒なもの。やりたくないもの。そんなポジションだったものが、心の安定の手段というポジションに昇格しているのがわかる。
人生の幸せというのは、表面的に何をしている、何を獲得しているということではなく、本人の心のとらえ方によるものだというのは、アランなどの『幸福論』にも記されていることだ。私はジェフペゾスやビルゲイツのような人間ではないので単純に比較などはおこがましいが、家事というルーティンが精神安定剤になるというのはうなずけるものだと思った。
未来大吉
