miraidaikichiのブログ

ロシアンルーレットな未来 ~Будущее за русской рулеткой~

ロシアンルーレットな未来:父親

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人生とは早いものだと思う。自分もあっという間に50を過ぎ、社会人としては終焉の方に近づいているのだ。自分には息子もおり、就職を控えている。親として、特に息子に、こうなってほしいとかこういう仕事についてほしいというのは全くない。自分の選んだ人生を自分の思うように生きてくれたらそれだけでいいと思えている。

そう思えたのもふと考えると、自分の両親が自分の人生の選択のときに良い意味で何も言ってこなかったからではないかと思う。進学も就職も結婚やアメリカに行くことなど、どんなことにも反対もすることなく、ただただ後押しを静かにしてくれていたような気がする。自分は両親に何かを反対された記憶があまりないのである。そういう影響なのかもしれない。

父親というのは因果なもので、家庭の中では往々にしてコミュニケーションが少ない存在となる。そして比較論的ではあるが、母親より子供のことについては距離を置くというか、あまりうるさくものを言いたくもないという思いがあるのではないだろうか。

自分の父親はまだ健在であるが、日本人男性の平均寿命を超える年齢にもなってきた。ロシア赴任前に会ってきたが、さすがに耳も遠くなり、記憶もあいまいで同じ話を繰り返している部分も出てきているが、幸い、まだボケというところまで至っていない。

自分の父親は田舎の教師であり、昔から息子には無理して働くなということ以外言われた記憶がない。父親を超える、期待に応えるなどとは無縁の世界で生きてきた。だから自分の父親が何を自分に期待していたのかはわからない。実際、特になかったのだと思う。父親は結構なアスリートで野球もやっていた。自分も野球をやっていたから、真剣に話をしたというのは野球のことくらいではなかろうかと。。それでも将来社会人野球をやれとかプロになれとも言われたことも期待されたこともない。

そんな父親と話しをすると、年をとったこともあろう。父親が言うのだ。「いや仲間内では子供が死んだの病気だの、仕事辞めただの失踪しただの。。そんなのばかりだけど、先生の息子はどうなんだい?と聞かれたら、実はアメリカで働いているんだ。とか、今度はロシアなんだって言うとみんなびっくりするんだよ」と嬉しそうに話すのである。田舎なものだから、そんなものなのは感覚的にはわかる。もちろん自分自身そんな大した立場でも世の中での成功者でもなんでもない。

でも、周りや客観的な評価云々ではなく、自分の父親が晩年になり、そうやって息子を少し誇らしげに思ってくれているというのは、多少、親孝行ができているってことなのかなって感じたものだ。自分の息子には同じように何も期待などしていない。でも、自分も80を過ぎて、50くらいになった息子が立派になったということを心から純粋に喜べることがあるのかもしれない。人生というのははかないものだと思うが、そういう何気ないシーンや場面で心で何かを感じていくことが価値あることなんだろうと思う。

 

 

未来大吉